1) 睡眠時無呼吸症候群とは
- 睡眠中の大きないびきや呼吸が止まる症状は特に注意を要します。
- SASは睡眠中に無呼吸(10秒以上呼吸が停止する)、低呼吸(10秒以上換気量が50%以上低下する)がみられる病気です。「睡眠1時間あたり5回以上無呼吸や低呼吸がみられる」、または「7時間の睡眠中に30回以上無呼吸や低呼吸がみられる」場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
2) 原因は?
- 下顎が後退している(小額症)、睡眠時舌根沈下がおきる、扁桃肥大、首の回りに脂肪がついている等により、気道の閉塞が起こりやすくなるためにおこる事が多いです。
3) 症状は?
- 睡眠中に大きないびきや無呼吸があり、直後にあえぐような呼吸をしたり、大きく咳き込む
- 睡眠中に座った姿勢で寝ている、寝相が悪い、夜間頻回にトイレに行く
- 睡眠中の中途覚醒や熟眠障害を引き起こし睡眠障害の原因となる
- 起床時に頭痛がみられることがある(無呼吸による低酸素状態が引き金になる)
- 日中の眠気、疲労感、集中困難、判断力や記憶力の低下等を引き起こすことがある(重大な事故につながることもあります)
- おこりっぽい、いらいらしやすい、気分が沈むなど、感情が不安定になることがある
- 生活習慣病(高血圧症、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、糖尿病など)の引き金になることがある
2.検査について
- 睡眠、自覚症状などの質問紙票によるチェックをします。
- 自宅で行える小型の睡眠・呼吸測定機器(携帯型睡眠時無呼吸症候群検査装置)を用い、自宅で呼吸の状態や血中の酸素飽和度等を測定し、睡眠時の呼吸障害の程度(AHI: Apnea Hypopnea Index)を求め、AHIが40以上の場合は治療を検討いたします。
- 携帯型機器でAHIが40未満の場合には、詳細を調べるために設備が整った医療機関に一泊入院をしていただき、終夜ポリソムノグラフィー検査により睡眠の深さ、呼吸状態を測ります。(脳波、心電図、胸腹部の動き、鼻からの気流、動脈血中の酸素飽和度などを計測します)。痛い検査ではありません。(近隣の医療機関を紹介致します)
3.治療について
- 生活習慣の改善。(食生活の改善、運動療法など)
- マウスピースの使用。(口腔外科に依頼致します)
- 持続陽圧呼吸CPAP: Continuous Positive Airway Pressure)療法
家庭用の小型の陽圧呼吸を補助する機器を用いて治療を行います。鼻にマスクなどを装着して、夜間睡眠時に低呼吸、無呼吸が認められた場合、呼吸機器が呼吸にあわせ気道の圧力を調整します。
4.検査治療をご希望の際は
電話でご予約下さい。その際、「睡眠時無呼吸症候群の予約」とお伝え下さい。
5.治療のメリットについて
- 突然死のリスク軽減が期待できます。
(重症の方が未治療で経過した場合、15年間で約4割の方が何らかの疾患の合併により亡くなるという報告があります) - 深い睡眠が得られ、よく寝た感じが得られるなど、睡眠の質の改善を期待できます。
- 倦怠感、日中の眠気の改善を期待できます。
- 集中力の改善、気分の変動の改善が期待できます。
- 睡眠時無呼吸症候群が引き金となる疾病の予防や、病状の改善が期待できます。
これらを考慮すると、生活の質の改善が期待できます。
6.診察の流れについて
1) 初診時は
- 簡単な質問票に記載をしていただきます。
- 医師が問診を行います。
- 睡眠時無呼吸症候群の可能性が強い場合は、自宅で行える簡易型検査の予約をお取りします。
- 再診の予約をお取りします。
2) 再診時は
- 自宅で行っていただいた携帯型機器による検査結果をお伝えします。
- 検査結果に基づいて治療方針を決めます。
3) 経鼻的持続陽圧呼吸療法(nCPAP)が導入になったとき
- 保険診療で治療を行えます。
- 機械は医療機器会社からのレンタルになります。
- 使用方法は導入時に詳しく説明致します。
- その後の再診は1ヶ月に1回受診が必要です。
- 受診時に呼吸機器付属のデータカードを持参していただき、治療経過をコンピューター解析して治療状況を説明致します。
- 必要に応じデータカードを通して呼吸機器設定調整を行います。